- 2020.12.15
- 投資関連
Chordia Therapeutics株式会社と小野薬品工業株式会社のライセンス契約 締結のお知らせ
京都大学の研究成果を活用するベンチャ ー企業であるChordia Therapeutics株式会社(本社:神奈川県藤沢市、代表取締役:三宅洋)はこのたび、同社が保有するMALT1阻害剤「CTX-177」及び関連化合物の全世界における開発・製造・商業化に関する権利を独占的に供与する契約を小野薬品工業と締結したことをお知らせします。Chordiaは、京都大学イノベーションキャピタル株式会社(本社:京都市左京区、 代表取締役:楠美公、以下「京都iCAP」)を無限責任組合員とするイノベーション京都2016 投資事業有限責任組合(以下「KYOTO-iCAP1 号ファンド」)の投資先です。
Chordiaは、本契約の締結に伴い、全世界においてCTX-177およびその関連化合物を独占的に開発、製造および商業化する権利を小野薬品に許諾します。Chordiaは、契約一時金および第Ⅰ相試験開始時の開発マイルストンの合計として33億円(うち契約一時金は8億円)、その後の開発の進捗および売上高に応じたマイルストンとして最大496億円を小野薬品から受領します。また、製品発売後はCTX-177の全世界での売上高に応じて、一桁台後半から二桁台前半のロイヤルティを受領します。
Chordiaの代表取締役である三宅洋は、次のように述べています。「オンコロジー領域のリーディングカンパニーであり、独創的かつ革新的な抗がん薬のポートフォリオを有する小野薬品と、MALT1阻害剤「CTX-177」について提携できたことを大変うれしく思います。当社は、新しい作用機作を有する抗がん薬の研究開発を推進する中で、選択的で強いMALT1阻害剤CTX-177を創薬できたことを誇りに思います。本提携により、CTX-177がより早く、多様なニーズを抱えるがん患者さんに届くことを期待します。」
京都iCAPの代表取締役である楠美公は、「本ライセンス契約により、MALT1阻害剤「CTX-177」の研究開発が加速され、一日でも早く、がん患者さんの新たな治療オプションとなる事を期待します。また、MALT1阻害薬は、京都大学を含む産官学の取り組みによって開発されました。京都iCAPは、本取り組みが、日本におけるイノベーション創出のモデルの一つとなる事を期待します。」と述べています。
〇CTX-177について
CTX-177は、リンパ球系の血液細胞において、その細胞内シグナル伝達に関与することが知られている粘膜関連リンパ組織リンパ腫転座1(Mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma translocation protein 1、以下、MALT1)に対する選択的な阻害剤です。MALT1の活性化は、リンパ球系の血液細胞のがん化に重要であることが報告されており、CTX-177はMALT1の活性を阻害することにより、これらリンパ球系の血液のがんに対する抗腫瘍効果が期待されます。
本MALT1阻害薬の研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の産学連携医療イノベーション創出プログラムのサポートを受けた、武田薬品工業株式会社(以下、武田薬品)、京都大学、宮崎大学との産官学連携の共同研究として開始されました。Chordiaは武田薬品よりライセンスを受け、化合物の最適化研究を行い、CTX-177を創薬しました。その後、AMEDの革新的がん医療実用化研究事業のサポートを受け、共同研究に国立がん研究センターも加わり、臨床試験開始に向けて前臨床試験を実施しています。これらのCTX-177の前臨床試験に関する研究成果は、本年12月5日から8日に先日 開催された第62回米国血液腫瘍学会で発表されました。(Abstract #141824, Daisuke Morishita et.al. Abstract #141824 :Preclinical Evaluation of a Novel MALT1 Inhibitor CTX-177 for Relapse/Refractory Lymphomas)。
〇Chordia Therapeutics株式会社について
Chordiaは、2017年11月にがん領域に特化した研究開発型バイオベンチャーとして神奈川県藤沢市の湘南ヘルスイノベーションパークに設立され、新しい作用機作を有する抗がん薬の研究と開発を行い、革新的な新薬を生み出すことを目指しています。リードプログラムとして開発が進んでいるCLK阻害薬CTX-712は、第1相臨床試験を実施しています。CTX-712はがんの持つ脆弱性を標的としており、有効な治療薬になることが期待されています。Chordiaは特定の異常を有するがんに効果が期待される複数のパイプラインの研究開発を行っています。
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