- 2022.8.8
- 投資関連
株式会社TSKへの新規投資について
京都大学イノベーションキャピタル株式会社(以下「京都iCAP」)(本社:京都市左京区、代表取締役:楠美 公)を無限責任組合員とするイノベーション京都2021投資事業有限責任組合(以下「KYOTO-iCAP2号ファンド」)は、京都大学の研究成果を活用するベンチャー企業である株式会社TSK(略称:TSK、本社:京都府相楽郡精華町、代表取締役:孫 恩喆)に対する投資を実行いたしました。
○今回の投資の概要
TSKは、京都大学化学研究所の中村正治教授(有機分子変換化学研究室)の鉄触媒に関する研究成果を基に、2021年7月に設立された京都大学発ベンチャーです。
有機化合物の分子骨格を組み上げるには、元来、強い酸・アルカリまたは高熱など厳しい反応条件が必要でしたが、パラジウムやルテニウムなどの重貴金属触媒によるクロスカップリング反応が開発され、液晶や有機EL材料、医・農薬等に活用される様々な有機化合物が効率的に合成出来るようになりました。しかしながら、近年の地球環境に配慮したESG・SDGs製造方法への期待や重貴金属の価格高騰の影響からも、安価で入手しやすく人体にも環境にも安全な新規触媒を用いた有機化合物の合成方法への代替ニーズが高まっています。
中村教授は、重貴金属に比べて安価で生体毒性の低い「鉄」を用いた新規触媒反応の開発を進めています。これまでに、液晶化合物の高効率合成や喘息治療薬の中間体の合成、非ステロイド系鎮痛薬や有機電子材料用途の機能性芳香族アミンの合成など、鉄触媒技術の産業普及に取り組んできました。
今後、TSKは、中村教授と共同研究を実施し、鉄触媒技術の更なる社会実装を加速します。まずは、京都大学の学内助成制度であるインキュベーションプログラムを活用して開発を進めた新規有機電子材料の事業化を目指します。また、鉄触媒を自社のプラットフォーム技術とし、新規有機化合物の開発や重貴金属触媒反応による有機化合物合成の鉄触媒への置き換えを支援します。
京都iCAPは、TSKの「鉄触媒化学」に基づき開発した付加価値の高い新規物質の製造・販売や関連技術のライセンス、および製法支援事業などの将来性を高く評価し、第三者割当増資による1億円の新規投資を実行しました。
株式会社TSK 概要
設立 | 2022年7月 |
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事業内容 | 鉄触媒技術を用いた新規化合物の開発と販売、および製法支援 |
本社所在地 | 京都府相楽郡精華町 |
代表取締役 | 孫 恩喆 |