- 2024.2.15
- お知らせ
第6回日本オープンイノベーション大賞において 京都大学イノベーションキャピタルが「科学技術政策担当大臣賞」を受賞
この度、内閣府主催の第6回日本オープンイノベーション大賞において、京都大学イノベーションキャピタル株式会社((以下「京都iCAP」)(本社:京都市左京区、代表取締役:楠美公)とChordia Therapeutics株式会社(本社:神奈川県藤沢市、代表取締役:三宅洋)、国立大学法人京都大学、国立大学法人宮崎大学、公益財団法人京都高度技術研究所が、「科学技術政策担当大臣賞」を受賞しましたので、お知らせいたします。
同賞の審査において、大手企業から独立して官民ファンドから協力を得て、大学及び国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)との産官学連携による新規抗がん薬MALT1阻害薬を創出し、製薬会社への導出を成功させたことで今後の日本創薬エコシステムの新しいロールモデルとして高く評価されました。
京都iCAPは、京都大学を始めとする国立大学の高度な研究成果を活用するスタートアップ企業への投資を通じて、次世代を担う産業の創造に貢献することを使命としています。この度の受賞成果は、国立大学と大手企業の共同研究からのカーブアウトベンチャーの設立とその支援を実施したベンチャー支援と産学連携のモデルとして注目されます。
受賞者コメント
森下大輔 Chordia Therapeutics株式会社 Chief Scientific Officer
本研究は私が米国留学の中で温め、帰国後に具現化したものです。ただ正直なところ、新しい医薬品を患者に届けたいという情熱だけで突き進んできたというのが実際かと今は振り返っています。その私の荒削りな志を共同受賞者の方々との出会いが、そして相互信頼が、支えてくださったからこそ、予期せぬ研究環境の変化もあった中でも1つの形として完遂出来たのだと強く実感しています。これまで一緒に取り組んでくださった方々皆様に心より感謝を申し上げ、また次なる新薬開発に一緒に取り組む機会を頂ければ幸いです。
小川誠司 京都大学大学院医学研究科腫瘍生物学講座 教授
私が京都大学で研究を開始してまもなく、米国留学から帰国した森下氏と出会ったのが2014年、それから産学連携での創薬研究に協力して取り組んで参りました。これまで私自身はがんのゲノム異常という観点でがんの性状を明らかにすることを行ってきましたが、その成果を基にして新薬候補が創出する場に直接関わり、そして貢献できたことは私の研究者としても初めての経験となりました。今回の経験を踏まえて次のさらなる新薬創出に関わる取り組みを行っていきたいと考えています。
下田和哉 宮崎大学医学部内科学講座 血液・糖尿病・内分泌内科学分野 教授
私たちの研究の目的は、得られた研究成果を患者さんの治療に直接還元することです。そのため、大学単独での研究にとどまらず、企業と一体となった医薬品開発を約10年前に開始しました。今回の森下氏との共同研究により新薬候補の創出を行うことができたのは得難い経験であり、今回の成果を礎に、産学連携による創薬研究にさらに取り組んでいきたいと考えています。
谷田清一 公益財団法人京都高度技術研究所 アドバイザー
薬づくりのエコシステムの構築を念頭に置きながらオープンイノベーション創薬を支援するプログラムの推進役を務めるなかで、アカデミアの最先端を行くがんゲノム技術に支えられて大手製薬企業をカーブアウトしたスタートアップで研究する森下氏に巡り合いました。私自身はテーマ担当者に寄り添いながらテーマの進捗を側面から支え、ここまでその「航路」を見守ってきました。その成果として、新規抗がん薬の創出と、世界に通用するグローバルスタートアップとしての確かな成長を見届けることができたと考えています。
上野博之 京都大学イノベーションキャピタル株式会社 投資第二部部長
産官学連携による本研究成果の社会実装を、スタートアップであるChordia Therapeutics株式会社へ引継ぐことに貢献できたことを光栄に思います。Chordiaでは、森下CSOが率いるチームが、本研究開発を京都大学・宮崎大学などの研究機関と協力し、迅速かつ有効に進めました。更に、本研究成果を基とした高度なビジネス判断を実施してきたと振り返ります。Chordia従業員の皆様、投資家や事業会社の皆様、研究機関や国機関の皆様、本イノベーションに関わっていただいた多くの関係者の皆様に感謝申し上げます。
〇日本オープンイノベーション大賞について
イノベーションの創出を巡る国際的な競争が激化する中で、研究開発等の成果を迅速に社会実装し、社会的ニーズの解決や新たな価値の創造につなげることが大きな課題となっています。そのための方法として、組織の壁を越えて知識や技術、経営資源を組み合わせた新しい取組みを推進するオープンイノベーションが注目されています。
こうした状況を踏まえ、日本のオープンイノベーションを更に推進するために、今後のロールモデルとして期待される先導性や独創性の高い取組みを「日本オープンイノベーション大賞」として表彰しています。
URL:https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/prize/2023.html
○Chordia Therapeutics株式会社について
Chordia Therapeutics株式会社は、臨床開発品を有するがん領域に特化した研究開発型バイオベンチャーであり、神奈川県藤沢市に拠点を有します。
Chordia Therapeutics株式会社のリードプログラムであるCLK阻害薬CTX-712は日本において第1相臨床試験、米国において第1/2相試験を実施中です。CTX-712はがんの持つ脆弱性を標的としており、有効な治療薬になることが期待されています。当社は、CTX-712に加え、特定の異常を有するがんに効果が期待されるCDK12阻害薬CTX-439、GCN2阻害薬など複数のパイプラインの研究開発を行っています。
○京都大学イノベーションキャピタル株式会社(京都iCAP)について
京都iCAPは、京都大学 100%出資子会社として、京都大学を中心とした国立大学から生まれた研究成果を活用する企業を対象に投資やその他の事業支援を行っております。当社は現在、総額160億円のKYOTO-iCAP1号ファンド(2016年1月設立)と総額181億円のイノベーション京都2021投資事業有限責任組合(以下「KYOTO-iCAP 2号ファンド」)(2021年1月設立)を運営しています。1号ファンドの満期は最長20年、2号ファンドの満期は最長17年に設定しており、基礎研究に強みを持つ京都大学の研究成果の実用化を長期にわたって支援することが可能となっています。また、2号ファンドでは、一部資金を京都大学以外の国立大学発ベンチャーに投資することとしています。
【お問い合わせ先】
京都大学イノベーションキャピタル株式会社
〒606-8317 京都市左京区吉田本町36番地1
事業企画部長(広報担当) 河野修己
TEL:075-753-7588 FAX:075-753-7592
E-mail:info@kyoto-unicap.co.jp